Background
現場が抱えていた課題
のれんや横断幕をインターネットを通じて受注し、製造・出荷しています。サイズはお客様によってまちまちで、横600mm・縦900mmのこともあれば、横3000mm・縦1000mmと、ミリ単位で異なります。
注文が入るたびに、デザイナーはIllustratorのテンプレートを開き、サイズを変更・数値を書き換え・袋幅を計算して入力する、という手順を毎回こなす必要がありました。1件あたり約1分。ミスが許されない計算作業を含むため、集中力も使います。

1人のデザイナーが1日に15件ほど対応し、それが複数名いる。1件1分が積み重なると、チーム全体では無視できない時間になっていました。
課題の構造
注文ごとにサイズが異なる → テンプレートの毎回手動調整が必要
袋幅の計算が必要 → 人間が計算・入力するのでミスのリスクがある
1日15件 × 複数名 → 小さな時間が積み重なって大きな損失に
Solution
どう変えたか
Illustratorのスクリプト機能(.jsx)を使い、サイズを入力するだけで、テンプレートの調整・数値の計算・配置まで自動で完了する仕組みを作りました。スクリプトの作成にはAIを活用しています。

Before
- 1 Illustratorでテンプレートを開く
- 2 オブジェクトのサイズを手動で変更
- 3 袋幅を考慮して数値テキストを書き換え
- 4 テキストの位置を調整
- 5 デザイン作業へ
約1分 / 件(+ 計算ミスのリスク)
After
- 1 スクリプトを実行するとダイアログが表示される
- 2 横・縦・袋幅のサイズを入力して「OK」を押す
- 3 サイズ変更・計算・数値配置がすべて自動完了
- 4 デザイン作業へ
3秒〜5秒 / 件(計算ミスもゼロに)
Results
変わったこと
1分かかった準備が
3秒に
計算ミスによるトラブル
0件
月間の削減時間
10〜15h
デザイナーが「準備」ではなく「デザイン」に集中できるようになった
人が計算しなくなったので、入力・計算ミスがなくなった
新しいデザイナーでも迷わず準備できる(属人化の解消)
Key Insight
この改善で学んだこと
「当たり前」になっている作業ほど、 改善の余地が大きい。
当時は「1件1分は仕方ない」と思っていました。でも立ち止まって考えると、この作業の中に「人間がやる必要のない部分」が大半を占めていたことに気づきました。
スクリプトの作成にはプログラミングの専門知識は必要ありませんでした。今のAIツールに「やりたいことを正確に伝える」だけで、実用的なスクリプトが手に入ります。大切なのは技術力より、「何をどう変えたいか」を言語化する力です。

取り組み方のコツは、一度に全部完成させようとするのではなく、小さく動かして、1つずつ直していくことです。試行錯誤を重ねていけば、現場で使える最適なスクリプトができるはずです。
また、スクリプトの便利さを知ったことで、デザイナー自らスクリプトを作成する文化が生まれつつあります。小さな成功体験でチームが変わりつつあるのを感じます。
現場ハックch
Illustratorスクリプトの作り方を動画で解説
「どうやって作ったの?」はYouTubeで
AIへの指示の出し方、スクリプトの設定手順、1つずつ修正していくコツまで、動画で詳しく公開しています。